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「和食」とは?
私たち日本人がイメージする和食とは、どんな料理でしょうか。
お寿司、天ぷら、すき焼きを思い浮かべますか?それとも家庭で食べられる、お米のご飯に漬物とおかず、汁がセットになっているものを思い浮かべる人もいるでしょう。高級な日本料理店で出されるような料理だけが和食なのでしょうか。
ここでは和食とは何かを掘り下げてみたいと思います。
和食の定義
和食の定義というのは実のところはっきりされていません。
農林水産省では和食を「日本の伝統的食文化としての和食」と位置づけし、こう示しています。
和食の構造を食材、料理、栄養の3つの要素で考えるのが一般的であろうが、ここに「もてなし」という点を設けることで、食べる場、行為、意味などを加えよう(中略)もてなしとは主人が客をいかにもてなすかというサービスだけをいっているのではない。食事のマナーや室礼といった食の場の設営の仕方や、それを鑑賞する態度も含まれる。(中略)和食には独自の作法がある。たとえば膳に向かって食べる最初に「いただきます」という挨拶を全員でする。これは自然の恵みによってわれわれが生かされているという思いから出たものである。
このことから和食は料理そのものだけを示すものではなく歴史や文化、習慣、マナーも関係してくるようです。何をもってすれば和食なのか、その判断はむしろ日本人としての感覚や経験、食事をする人の感覚にゆだねられているようです。
和食と日本料理の違い
和食と誤認識されている日本料理についてみてみましょう。
日本料理は明治31年に石井泰次郎の『日本料理法大全』において一般化したといわれています。和食の初見はまだ見つかってはいませんが、明治以前に遡ると考えられています。
和食と日本料理の言葉の使い方を説明すると、料理屋で提供される高度な技術を要される料理が日本料理といい、家庭食に重点を置いた日本食文化の全体を和食といういい方がふさわしいと考えられます。
すなわち和食とは家庭食も含め、日本の食文化そのものを和食と呼んでよいということになります。
和食と洋食の違いは?
西洋料理(洋食)という呼称は文明開化時代に生まれました。これに対してできた言葉が和食(日本料理)です。
日本では昔から米を主食とし、おかずを副食にする習慣がありました。
一方、ヨーロッパでは牧畜が盛んで、肉類、乳製品を中心に食べることが多く、麦類からできるパンを一緒に食べる習慣となり主食、副食という区別はありません。
主食、副食が明確な和食とは全く違うことがわかります。
和食の特徴と魅力
農林水産省のホームページでは無形文化遺産和食の特徴として以下の4点をあげています。
- 多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重
- 栄養バランスに優れた健康的な食生活
- 自然の美しさや季節の移ろいの表現
- 正月などの年中行事との密接な関わり
▼多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重
日本の国土は南北に長く、海、山、里と表情豊かな自然が広がっています。そのため、各地では地域に根差した多様な新鮮な食材が用いられ、また素材の味わいを活かすための調理技術・調理道具が発達してきました。
▼栄養バランスに優れた健康的な食生活
・一汁三菜
日本の家庭料理における基本構成で、主食であるご飯と汁物のお味噌汁1品とおかずを3品で一汁三菜になります。
ご飯でエネルギー源となる炭水化物を、汁ものとおかずで水分や他の栄養素をとり、おかずでその他の栄養をバランスよくとることができます。3品のおかず(主菜1品と副菜2品)の主菜は魚や肉、卵、豆腐などのたんぱく質を中心としたものにし、副菜は野菜や芋、豆、茸、海藻などでビタミンやミネラル、食物繊維がたっぷりとれます。
和食では通常、3品「焼き物」「煮物」「和えもの(酢のもの)」といった異なった調理法の料理で構成され、栄養的にも一度の食事で様々な栄養素を摂取する点が優れています。
・うま味(旨味)
「和食」に欠かせない味の要素のひとつにうま味があります。昆布の主成分グルタミン酸、かつお節に含まれるイノシン酸、干しシイタケに含まれるグアニル酸や発酵・熟成食品や干物、野菜など、また調理の前に塩をふった魚や肉にうま味があることが明らかになっています。うま味は「和食」とともに誇れる日本の文化といえるでしょう。
▼自然の美しさや季節の移ろいの表現
「走り」「旬」「名残」など季節の移ろいを楽しむ和食。季節の花や葉などで料理を美しく飾りつけたり、季節に合った調度品や器を利用することでもてなします。
▼正月などの年中行事との密接な関わり
日本の食文化は、年中行事と密接に関わって育まれてきました。自然の恵みである「食」を分け合い、食の時間を共にすることで、家族や地域の絆を深めてきました。
まとめ
和食とは日本の食事の総称です。
料理だけではなく、風土や歴史、文化、習慣、作法が深く関係していることがわかります。
日本の豊かな食文化「和食」を私たち自身がしっかり理解し、後世に伝えていきたいものです。
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